"将棋への招待"(全文エスペラント)の刊行に寄せて(4号,1997.3.3)

 かけはしを毎号楽しく読ませて頂いている。鈴木良尚さんのお誘いもあり、6月から会員になった。将棋の海外普及、女性普及には前々から関心があったので、二つ返事で入会した次第である。
 本年還暦を迎えたので、何か記念になる企画をと考え、この程全文エスペラント語による将棋入門書"将棋への招待"(Invito al Japana Sako)70ページを自費出版した。これについては'96年9月11日付の読売新聞においても取り上げて頂いたが、以下簡単に紹介したい。(上田友彦

 東京エスペラントクラブの機関誌"La Suno Pacifika"国際版に1992年から23回にわたって4年間連載した Japana Sako(Shogi) シリーズをベースに、若干修正したものである。目次からおよそのイメージをつかんで頂けると思う。

目次−序文
1)将棋---その歴史、特徴
2)将棋のルール
3)詰将棋
4)必死問題
5)玉の囲い
6)序盤戦法
7)中盤の手筋
8)寄せの手筋
9)実戦譜
10)用語集、外国人の対局風景等

 最も苦心したのは、日本のすぐれた伝統文化であり、長い歴史を有するこの興味深い知的なゲームをどのようにエスペラントで表現するか、独特の用語をどの程度日本語として残し、どこまでエスペラント訳すべきかという問題であった。
 エスペラントはいかなる民族語にも属しない中立の言語であるので、ある特定の言語の影響を強く受ける事は避けねばならなかった。しかるに日本語以外で書かれた将棋に関する文献は英語書きの本が数冊あるのみであった。さんざん迷ったあげく、"Shogi for Beginners"、"Guide to Shogi openings"、"Better moves for better shogi"の3冊を参考にし、表記法もほぼこれに倣うことにした。英語方式を踏襲するということより、少なくとも、盤面、駒の名称、駒の動き、棋譜の記録法については、このやり方が一番国際的に定着していると考えたからである。
 いま本誌にライエル・グリンベルヘンさんが"Translating Shogi"を連載されているが、結果的には英語をエスペラントと置き換えただけのほとんど同じ表記法になっている。私としては、いろいろ迷ったあげくこれで良かったのだ、と意を強くしている次第である。
 ただ将棋用語については、英語の直訳でない箇所がかなりある。不適切な訳語は今後改めていきたいと考えている。御参考までに駒の呼称、動き等を以下に示す。
Ueda_1.jpg

(3)棋譜の実例
 かけはし第2号11ページの相振り飛車の出だしの部分をエスペラントで表記すると次の様になる。英語表記とそっくりなのが御判り頂けると思う。
Ueda_2.jpg

  なお本冊子をお求めの方は郵券1040円(80円切手13枚:頒価800円+送料240円)を著者(〒134 江戸川区清新町1-1-20-202 上田友彦)宛お送り頂くと、折り返し "Invito al Japana Sako" をお送り致します。

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