中国子供将棋親善使節団招聘雑感(5号,1997.5.19)
1.支援をして下さった方々に感謝
中国から将棋の強い子供を日本に招こう、という話が持ち上がった時に、私は直感的にこれは政府や将棋連盟ではなく我々の会が主催でやると良い、と思いました。(将棋を世界に広める会
代表幹事 眞田尚裕)
特に理由があった訳ではありません。小回りが利く将棋を世界に広める会(ISPS)でやればうまく行くという気がしたのです。事実始めはすこぶる好調でした。往復の飛行機代は中国側が負担、日本での滞在費と移動費(最低で30万円)が日本側で負担という話に某ライオンズ倶楽部からお金を25万〜30万と中国語の通訳の人をボランティアで出しましょう、と申し入れがあったのです。喜んで準備にかかり中国側にもOKの返事を出しました。ところが、中国から子供3人と付き添いの大人3人の来日者名簿が来たころになってそのライオンズ倶楽部の都合で話は白紙ということになったのです。これには困りました。お金がなければ人一人招くこともできません。といって中止することも延期することも出来にくい状況でした。
そこで一つの会社(または団体)から寄付を仰ぐのではなく一人一口一万円以上協力して下さるミニスポンサーを大勢募集することにしました。幹事が手分けをして友人知人にお願いをしました。昔から「捨てる神あれば拾う神あり」と言いますが、2ヶ月余りのうちに20人以上の方々から支援のお申し込みがあり、予定額以上のお金が集まりました。今回のことが実行出来ましたのは先ず何といってもこの方々のお蔭と思っております。この会報の紙上を借り、改めて深く感謝の意を表したいと存じます。
それに加え、指導将棋を引き受けて下さった先生方、通訳の方々、その他陰に陽に応援して下さった皆様にお礼申し上げます。
2.言葉は通じなくても将棋は出来る
中国からやってきた子供たち3人は日本語は全く出来ませんでした。帰るまでの間に「お早ようございます」「お願いします」「有り難うございました」をやっと覚えた程度です。私がカセットを聞いて勉強した中国語もニイハオ以外はほとんど全く通じませんでした。それでも彼らが将棋を指すに当たっては言葉が通じないということは何の差し障りにもなりませんでした。日本の子供と指す時もプロの先生に指導を受ける時も彼らはちゃんと将棋を指しました。言葉はできなくても将棋はできる、ということを彼らは体現してくれました。世界に将棋を広めようとしている我々にとって大変嬉しいことでした。
3.中国での将棋普及の問題点と今後の方向
子供達と一緒に来た王先生と李先生の話では北京には将棋のできる子供が300人ぐらいいるそうです。今回来日した3人(3人とも1級を認定されました)より強くなりそうな小さい子もいるとのことです。
ただ将棋普及の問題点としては(1)指導者の不足(今の勢いだと教えている先生より子供の方がずっと強くなりそう)(2)中国語の棋書がない(3)盤駒が手軽に買えない、などがあげられいました。
我々の会としては今回の事が一回限りのイベントに終わることのないように定期的で継続的な中国との交流を図っていきたいと考えています。それによって中国における将棋の普及が根付いたものとなるでしょう。当面は上記の問題を解決する必要がある訳ですがこれらについてはISPSの会員の皆さんの知恵と力を拝借したいものと思っています。例えば指導者が足りないなら毎月中国ツアーを組んでISPSの会員が教えに行けばいい、その為の資金作りはこうすれば、とか駒が無いのなら中国で駒を作る会社を興せば良い、その為にはこうすればうまく行く、とか独創的で建設的なアイディアをかけはし編集部宛にお寄せ下さい。
コメント