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海外で将棋を指そう!(2号、1996.7.7)

 今年の5月、休暇を取って個人旅行でアメリカに行って来ました。2週間という短めの間にアトランタ、ワシントンDC、シンシナティの3ヶ所を廻り、現地の方と将棋を指して来ました。もちろん、日本将棋です。(山田禎一)

海外にも強い人はいますがそれ以上に、将棋に興味を持っていても指す機会がない人がたくさんいます。海外に旅行する時、現地の将棋ファンと会うことができれば旅行の楽しさがより深くなります。かけはし第2号は海外訪問記事特集です。

アトランタのイベント
 今年の5月に、オリンピックと比べると規模はだいぶ小さいものの、記念すべきイベントがアトランタでありました。女流王将戦第一局です。女流プロの海外対局はなんとこれが初めてです。主催者サイドも手探り状態、準備万端のつもりでも、解説用の大盤がなくて駒だけだったとか、何かと手違いが発生して苦労が絶えなかったと思います。
 女流王将戦は持ち時間各3時間の一日制タイトル戦、朝10時に始まって夕方ころ終わります。試合が始まるころ、対局場となった料亭にアメリカ人も数人やってきました。こういう場では誰かしら盤駒を用意しているもので、暇が出来ると近くの人同士すぐに対局が始まります。外国の将棋プレイヤーはおおむね本で覚えた将棋で、形がきれいです。尤も、最新定跡までカバーしている人はほとんどいません。というわけで、不勉強な私でも気楽に指すことができます。
 今年70才になるフロリダのハロルドさんは、朝早くアトランタに着いたとかで眠そうでしたが、折角のチャンス、次々に相手を捕まえて実戦を重ねます。解説で来られていた関根紀代子女流四段に2枚落ちで指導を受けていました。その横で、将棋は指せないんです、と言いながらずっと一緒に観ていた友達のリンさんに、主催者から将棋の本(もちろん英語)のプレゼントがありました。これからも二人一緒に将棋を楽しんで欲しいものです。

UCボーイ 
 シンシナティではチェスから将棋に興味を持ったという大学生、ダグ君に会いました。彼はUCことシンシナティ大学の2回生で、大学のチェス部の中に将棋部を作ろうとしていました。彼は今4級くらいの強さですが、当地では当然の如く最強で、指導的な立場にあります。実戦不足ですがよく勉強していて、油断していると私も時々やられてしまいます。彼に案内してもらってチェス部の集まりに参加しました。チェスはルールを知っているだけなのでそちらに参加できなかったのは残念です。
 なるほどダグ君が頑張っているらしく、将棋のコーナーにもまずまず人が集まって来ました。ポータブルセットやビニールの盤などを日本から持って行ったのが役に立ちます。ダグ君と私で2〜3面受け持って多面指しですが、やはりチェスが強い人は将棋もすぐ覚えます。彼らの特徴は
・飛角=大駒という感覚が乏しい。
・逆に桂馬を大事にするし、使い方もうまい。
・囲いは比較的薄め、攻撃重視の陣形。
・解説書よりも実戦譜を好む。
といったところでしょうか。

旅行会社の宣伝?!
 海外ではこんな出会いが待っています。というとどこかで聞いたような宣伝文句ですが、たとえ短い訪問でも一味違う経験です。海外旅行の際はぜひ将棋ファンがいるところを選ぶことをお薦めします。

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