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第二回日韓将棋チャンギ交流会開催(29号、2004.9.18)

 8月18日より21日まで、第2回日韓将棋チャンギ交流会(主催:将棋を世界に広める会、韓国将棋協会 後援:外務省、日本将棋連盟、(株)サテライトカルチャージャパン 協賛:(株)御蔵、NECフィールディング(株)、読売新聞文化部)に招待された韓国の小学生二人と、付き添いの校長先生2人、および韓国チャンギ協会のワールド将棋の南さんの5名が来日し、19日の朝10時40分から東京飯田橋の東京ボランティアセンターで行われた交流会に参加した。(寺尾学

 韓国側の小学生2名は、7月に100名以上が参加して行われた予選を勝ち抜いた、趙俊範(ジョ・ジョンボム 小4)君と李正賢(イ・ジョンヒョン 小5)君。迎える日本側は、日本将棋連盟道場課の村上さんに選んでもらった連盟道場の常連の小学生5人で、渡辺和史(小5)君、香川愛生(小5)さん、岩田梧一(小5)君、小島秀一(小6)君、飛知和敏人(小6)君の5人。アマ2級から三段までの布陣である。
 合計7人と奇数の人数なので、韓国の小学生は日本の小学生との5回戦、日本の小学生は、小学生同士の対局がないときは、所司六段の指導対局を受けることとなり変則的な4回戦で交流大会を行った。
Nikkan_dia1.JPG
 趙君、李君とも、前夜、日本に初めてやってきた興奮のためか、宿舎で朝まで眠らずにベッドで将棋の練習をしていたとのこと。そういえばやや眠そうな顔だ。しかし徹夜練習の健闘及ばず白星をあげることはかなわなかった。「韓国で通用する戦法が日本では通用しないのでビックリした」というのは趙君の懇親会での弁。図面は李君対渡辺君の一戦からで、李君が筋違い角で一歩得を果たした場面であるが、この後、角の退路を開ける▲6六歩または▲4六歩という手をまだ知らなかったようで、後手の渡辺君にすかさず▽5五歩と突かれ、角をいじめられて形勢を損ねてしまった。おそらく韓国の小学生同士では、筋違い角をいじめてくる指し方ができる相手がまだいないのだろう。本場日本の同年代のレベルを体感したことが、今後さらに実力を向上したいという意欲につながることを願いたい。

20校で課外活動

 韓国に日本の将棋が普及し始めたのは、昨年11月の第一回将棋チャンギ交流会から。今年の1−2月に当会会員の上田さん、川北さんが訪韓して将棋の指導者を20人あまり養成し、その20人がソウル市内の小学校で将棋を教え始めたのが新学期の始まる3月。つまり、ソウルの小学生が将棋を覚えてからまだほんの数ヶ月しかたっていない。それを考えると、2人は4−5級の実力はある(所司六段)とのことなので、驚異的に普及が進んでいるとみてよいのではないだろうか。
 引率の曹茂一(ジョ・ムイル)校長の話では、現在、ソウル市内には540校の小学校がある。そのうち20校で課外活動として、チャンギ、チェス、将棋を一緒に行うクラブが活動をしているそうで、20校合わせて400名ほどの小学生が将棋に親しんでいるとのことだ。上田さん、川北さんが冬に育成した指導者が各校でいい仕事をしているようだ。
 来日した2人は、同じ小学校の2人で、その小学校の子供は2人に限らず、強いらしい。どうも、指導者の女性の教え方が上手なようで、川北さんによれば、その女性指導者は、もともと博物館で説明員をやっていて、子供相手に楽しくわかりやすく説明をするのに慣れた方とのことで、指導者養成のときもたいへん印象に残っていた方とのこと。子供を相手に普及をするための大事な秘訣は、将棋の実力にはあまり関係がなく、このあたりにあるような気がする。
 今後の韓国での将棋普及の課題としては、将棋の指導者の数を増やして、将棋の課外活動をする小学校を増やしていくこと、今の小学生が卒業していくので、中学校でも将棋をできる機会を作っていくことになるだろう。また、課外活動時に学校で触るだけで、ほとんどの小学生は自宅に将棋の盤駒を持っていないことがわかった。今回来た二人には、日本将棋連盟開発課の磯辺さんのはからいで、将棋の盤駒が寄贈されたが、現地の子供が安価に将棋の盤駒を手に入れられるようにすることが必要になってくる。安価な将棋の盤駒をどのように韓国で流通させていくのかも今後解決してべき課題だろう。
 韓国将棋協会では、このイベントに続いて9月19日に将棋大会、12月に一年の締めくくりとして将棋グランプリ大会を開催する予定。今後が楽しみだ。
 今回の交流会に参加した子供のお母様方は、小学生が親の引率無しで日本にやってきたことに一様に驚いていた。丁英子(ジョン・ヨンジャ)校長も「今回は私達2人の校長が引率なので親御さんも任せてくれたようですが、普通は有り得ません」と語っていた。しかし、それ以上に驚いたのは、自分の子供が感想戦で韓国の子供と言葉の壁を超えて意思の疎通ができていることのようであった。また、チャンギをすぐ覚えてしまうのも子供ならではである。将棋・チャンギを通じれば、言葉の壁を超えて韓国の子供とすぐ友達になれるのは、当会としてももっとアピールしてよいかもしれない。
 今回も多くの方のお世話になって、交流会を実現することができた。賞品を提供していただいた森内名人および(株)学習研究社、また、通訳を引き受けていただいた、太田さん、張さん、宋さんほか、後援・協賛いただいた各方面、また援助いただいた会員各位にお礼を申し上げて本稿の結びとしたい。

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