将棋Free Style Cup 2004(29号、2004.9.18)
将棋フリースタイルカップ2004というトーナメントが、インターネットの将棋倶楽部24を舞台にして、7月17日から8月27日にかけて行われた。このトーナメントは、元プロ棋士で静岡大学教授の飯田弘之さんと、ドイツのフリードリッヒ・シラー大学教授のインゴ・アルトホーファーさんがスポンサーとなり開催したもの。人間とコンピューターのチーム同士で将棋の対抗戦を行うユニークな形式。(寺尾学)
たとえていえば、序盤のエジソンと詰みを逃さないコンピュータープログラムのドリームチームが可能なトーナメントだ。また、将棋倶楽部24を使った初めての賞金つき国際大会という点でも画期的であった。従って大会の告知は英語だけで行われ、ロシアの Rinden1、オランダの WhiteRonin, 日本からは Shizudai と ITO with 3COMの合計4チームが参加し、熱戦を繰り広げた。
結果は以下の通り(先手 - 後手、1は勝ち、0は負け)
<予選1回戦>(7月17日)
WhiteRonin - Shizudai(0-1)
Rinden1 - Ito with 3COM(0-1)
<予選2回戦>(7月21日、24日)
Shizudai - Rinden1(1-0)
ITO with 3COM - WhiteRonin(0-1)
<予選3回戦>(7月28日、7月31日
ITO with 3COM - Shizudai(0-1)
WhiteRonin - Rinden1(0-1)
<準決勝>(8月17日,8月21日)
Shizudai - WhiteRonin(1-0)
ITO with 3COM - Rinden1
<決勝>(8月25日)
Shizudai - ITO with 3COM
日本勢の壁は厚く、ロシアの Rinden1, オランダの WhiteRonin は3位、4位に終わった。優勝は Shizudai 。棋譜を再現すると、まだまだドリームチームのレベルにいくには達していないようだ。
拘束時間が問題
大会すべての対局を観戦することはできなかったが、将棋倶楽部24を用いた国際大会を開催する難しさは、対局日の調整にあると感じた。当初、本大会の要綱では7月17日をスタートの日として5週間にわたって毎週土曜日の日本時間午後九時に対局が行われることになっていたが、夏休みの時期、毎土曜の夜が拘束されるのはなかなか大変なこと。また、今回は参加チーム同士が連絡して、土曜日以外の日にも対局が行われたことがあったが、主催者側もそれにあわせてレフェリーとして観戦する必要があり、主催者は相当に時間が自由に使える人でないと難しいのではないかと感じた。
筆者もこの夏に、将棋倶楽部24で開催されたリレー将棋で、オーストラリアの ramalamさんを含めたチームを作って予選に参加したが、その日程調整のプレッシャーは並大抵のものではなかったのを思い出す。なので、2ヶ月近くの期間テンションを維持する参加者と主催者の熱意とエネルギーには頭の下がる思いだ。
今後も、将棋倶楽部24を使った国際大会が開かれていくことになるだろうが、リアルの大会のように週末などの短期間に集中的に対局を行う方式も考えられてよいのではないかと思った。
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