継続的な将棋の国際普及について(32号,6月18日発行)
主な3方法について反省
「将棋を世界に広める」を掛け声に、過去10年間活動を行ってきました。我々がしてきたことが、外国で将棋を始めようという人達にとってはたして役にたったかどうか、今、反省しています。(眞田尚裕)
考え方の基本は、外国で将棋を学ぼうとする人が、どれだけ、実力向上に直結する将棋対局ができるか、どれだけ、将棋を勉強する時間が取れるか、そのために我々がどうサポートすればよいのか、だと思います。
考えられる有効な方法の主なものは、(1)将棋の指導者を派遣する、(2)ある程度将棋ができるようになった人を日本へ招いて短期集中的に将棋を指導する、又は大会に出場させる、(3)インターネットの活用、の三つだと思います。
(1)と(2)とは過去に行い、それなりに成果があったと考えます。ただ、継続性の面からは、打ち上げ花火的であったかもしれません。(1)については派遣期間の限界があります。昨年鈴木副理事長がサンクトペテルブルグに半年間も滞在しましたが、その後の事は、まだよく分っていません。その地の将棋人口がある程度以上になるまで、絶えず、断続的に指導者を(人が代わっても)同じ所へ派遣する必要があるわけです。
(2)についても日本へ来た子供が、その後も将棋を続けてやっているか、強くなっているか等は、やはり、よく分っていません。かといって将棋留学を希望する外国人が出てきたとしても、長期に受け入れる施設は無いのが現状です。そのような施設があれば、あとは経費の問題をクリアすれば、外国人を長期間受け入れて、強くして帰すことが可能でしょう。それまでは、来日者の棋力向上に役立つことは何か、をもっと知恵を絞って考える必要があるのです。また、日本に住んでいる外国人に普及するにはどうすればよいか、についてはまだ手探りの状態です。
将棋の国際普及に、大きな力になると思われるのは(3)のインターネット将棋です。今や国境を越えてインターネット対局ができるようになりました。ロシアには既に将棋倶楽部24で4000局指したという青年がいます。番数をこなすことは、棋力の向上に必ず役立ちます。2年ほど前にISPS将棋道場を開いてインターネット対局を外国人に呼びかけましたが時期早尚のきらいがありました。言葉の問題はあるでしょうし、ソフトの問題も多少あるようですが、日本から遠く離れた国の人でも、パソコンを持っていて将棋を指したければ、いつでもISPSの会員が相手をするというようにしたいものと思っています。
「将棋を世界に広める会」はNPO法人ですから、儲けを出す必要はありません。それだけに、今やっていることが目的に対して「空振り」でないかどうか、独り善がりになっていないかどうかを絶えず自省して見なければならないのです。
最近のコメント