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特別企画 「安恵先生へのインタビュー」(44号、2008年7月23日発行)

ブラジル訪問を終えて

 この度、南米に将棋の普及においでになりました安恵照剛八段に、『かけはし』の編集委員が、派遣の経緯やブラジルでの将棋普及の様子などをお尋ねしました。インタビューの概略を報告します。(聞き手:『かけはし』編集委員)

編集委員 「今度、将棋の普及にサンパウロに行かれ普及に努められたそうですが、どのような経緯で、派遣されたのでしょうか」
安恵八段 「日本人が移民としてブラジルに渡ってから丁度100周年なんです。これを記念した事業の一環として、国際交流基金と日本将棋連盟の支援の下に現地の将棋普及と指導のためということで、私と石川陽生七段が派遣されました」

編集委員 「派遣されるからには何か理由があったと思うのですが、安恵先生とブラジルとは以前から何か関係があったのでしょうか」
安恵八段 「特に関係というほど のことではないのですが、以前にブラジルに渡ってみようと思ったことがあるのです」

編集委員 「ブラジルにですか!」
安恵八段 「ええ、40年ほど前のことですが、あまりにプロへの道が厳しいので、将棋の普及をかねてブラジルで新たな人生を考えようと渡伯を望んだことがあったんですよ」

編集委員 「それはそれは」
安恵八段 「お蔭様で、まもなくプロになれたために実際にブラジルに行くことはなかったんですが、私個人としては、当時を思い出しますし、今回プロ棋士として訪伯できて大変喜んでいいます」

編集委員 「どのような旅程だったのでしょうか。簡単な日程と経路をお伺いできれば、と思いますが」
安恵八段 「4月30日に日本発って、5月1日に米国経由でサンパウロ着きました。その日にブラジル将棋連盟を訪問し、5月2日には記者会見。その後に、ブラジル将棋連盟の方々と指導将棋を指しました。ブラジル将棋連盟の本部が将棋クラブのようになっていて、そこで3面ざしの指導対局を行いました。続いて5月3日歓迎昼食会。5月4日ブラジル王将戦の審判と指導と続きました」

編集委員 「中々の強行軍ですね。我々ISPSが先生に事前にお願いしました、ポルトアレグレ市の大学生とは会うことができたのでしょうか」
安恵八段 「できました。5月4日のブラジル王将戦の後に会いまして、指導もしてきました」

編集委員 「それはありがとうございました。さぞ、彼らも喜んでくれたことでしょう。ところで、全日程が将棋の普及だったのですか」
安恵八段 「幸いなことに、少し時間的な余裕も頂き、5日、6日は観光にあてることができました。良い思い出です。7日にブラジルを発って、米国経由で帰国しました。

編集委員 「ブラジルでの将棋の広まり具合はいかがでしたでしょうか。日系人以外にも多く広まっているのでしょうか」
安恵八段 「やはり日系人が中心でしたね。日系人以外では、ISPSが紹介した大学生たちが目立ったくらいでした」

編集委員 「将棋を南米へ普及しようとした場合、どのような方策が有効だとお考えですか」
安恵八段 「現地語もしくは英語、できるだけ現地語で『将棋』を普及できることが必要だと思います」

編集委員 「最後にお聞きしたいと思いますが、南米での将棋の普及を考えた場合、今後、ISPSにとって有効な方法があるとしたら、どのような方法があるとお考えでしょうか」
安恵八段 「難しい質問ですね。広範な方法は提示できませんが、向こうで接触した感じでは、現在のブラジル領事の高橋さんは将棋に対して非常に協力的なのです。折があればISPSからコンタクトを取ってみるのはどうでしょうか。また今度、竜王戦にブラジル大会の優勝者、高島ロベルト五段が来日することになっています。其の前後に私が現地でお世話になった斉藤専務理事が来日されるようなので、その際にコンタクトしてはどうでしょうか。」

編集委員 「とてもご示唆に富む話の中からも、有意義な普及活動であったことが良く分かりました。今後とも、海外普及にご活躍されますことと、ISPSへの更なるご援助を宜しくお願いいたします。どうも有難うございました」


 発展を続けるブラジル・サンパウロ。特に日系人が国の上層部にいて、発展を支えている。将棋界にとってのサンパウロは最古の拠点の一つですし、上海に次ぐ最大の海外拠点です。
二世・三世も入れると人的資源も豊富ですから、南米の将棋の普及発展の根拠地となることは間違いはありません。加藤治郎先生や大山康晴先生の時代に既に基盤や根拠を造り、中心人物の発掘を図られてきました。安恵先生・石川先生は、きっと確立された組織が現在どのように機能しているか、今後の見通しなどを調べられたのでしょう。広範な掘り起こしを画するには、実績を持つISPSの出番かと思います。インターネットを駆使し、人物やメディアを動かし、南米普及の足がかりをつくりたいものです。

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