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ロシアでの将棋指導(13号、2000.9.15)

 サンクト・ペテルブルグの露日文化教育財団「大和」が事務所を構える、コッペイ宮殿での将棋教室の一幕です。
 「将棋を世界に広める会」の公式行事が済んで、残った時間をせっかくだから普及にあてようということになり
ました。
 最後に対局した相手は、長身の青年、23歳のロジノフミーシャ君でした。(細根雄治

 ほかにも700km離れたモスクワから10時間かけて来てくれた方が6、7人いました。知的で面白い将棋は海外の人にも理解してもらえるんだな、という実感を覚えました。
 駒を並べて2枚落ちくらいでやってみようとしましたが、彼は平手を希望したので平手で指すことにしました。
 3局指しましたが、やはり少し実力差があるようです。4局目は2枚落ちで指しました。
 初手から▽6ニ銀、▲7六歩、そこで私が▽5四歩と指したとき彼から、「なぜ皆さんはここの歩を突くのですか」と日本語で質問がありました。
 私はそこで「これは次に▽5三銀から▽4四歩と下手の角道を止めて駒組みを楽にする狙いなんだ。だから君は▲4六歩〜▲4五歩と伸ばしてまず角道を確保することが大切。そのあと飛車の活用を図ったり、王様を囲ったりしていくといいよ」と答えました。
 一昨年、昨年の中国訪問の際には、子供たちは定跡をある程度知っていましたが、ロシアではまだ囲いの形もあまり知られていないようです。私は彼に、「将棋は王様を囲うことが大事。王様をしっかり守ってから攻めを考えたほうがいいよ」と矢倉囲いと美濃囲いを教えてあげました。彼はノートを取り出し、算用数字と不思議なスペルを書きながらメモをとっていました。
 ただ、将棋は局面を判断して、囲いを考えたり、攻め、受けの構想を練らなければいけません。その辺のことを口で説明するのは難しい。経験を積んで学んでいってもらいたいものです。
 彼は事あるごとに、自分で考えた質問をし、一生懸命メモを取っていました。疑問をみつけそれについて素直に質問し、ものにしていく。将来彼は強くなる、という確信がもてました。終わりの時間がきたとき、彼は私にサインをと、A4判を差し出しました。そこにこれからも一歩一歩進んでいくことを希望して「前進」と書きました。
 ミーシャ君の将棋人生に大輪の花が咲くことを期待します。

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