ウクライナの将棋普及と見通し(14号、2000.12.25)
1996年初めて日本将棋連盟に手紙を出し、ウクライナに将棋の紹介をはじめました。
自分で作った将棋セットと日本将棋連盟から送られた将棋セットに将棋の本『SHOGI FOR BEGENNERS』を使いながら少しずつ仲間たちに将棋のルールを教えていきました。(ウィスタ・チシェンコ)
ウクライナはチェスの国でたくさんの棋士がいます。グランドマスターは国際トーナメントにも参加していますし、キエフの大学では、スポーツ活動の一環としてチェスが取り入れられているほどです。チェスの棋士はすぐに将棋のルールを覚えてくれました。将棋の駒の動かし方を教えるのにはレゲット(T. Legget)駒を使いました。
日本大使館員の原田和哉さんには将棋普及で大変お手伝いしていただきました。
原田さんは五段です。彼は仕事のあと、ウクライナの将棋ファンたちに大使館で大内延之九段の『初歩の基本戦法』や中原永世十段の『急戦将棋』などを使いながら、みんなに定跡を教えたり、多面指しをしたりしてくれました。残念なことに原田さんは日本に帰ってしまいましたが、とても感謝しています。
まださほどウクライナでは将棋は盛んではありませんが、囲碁のほうは、『科学と生命』(1975年8月)という雑誌に囲碁コンクールの記事が掲載されたあとから普及が始まり、レニングラードやモスクワなどロシアの大きな都市には囲碁センターができました。現在ではウクライナ囲碁連盟によってウクライナの囲碁棋士たちは国内大会だけでなく様々な国際トーナメントにも参加しています。
私は囲碁と将棋の講師で、「子供宮殿」というところに勤めています。同僚は囲碁やチェス・西洋碁(draghts)などを教えています。
チェスについて話しますと、毎年人気は上がっています。「子供宮殿」の生徒の棋力は初級〜1級くらいですが、チェストーナメント・ファイナルに「子供宮殿」の生徒を進出させることが講師の夢です。
生徒達はチェスをやっているせいか、将棋を教えたらすぐ覚えてくれました。将棋に興味をもってくれたみたいで、トレーニングで指したり、詰め将棋を解いたり、多面指しをしたりしています。
Artem Grechk くんは特に気に入ってくれたみたいで、普及のお手伝いをしてくれたり、一生懸命定跡や戦法などを勉強しています。彼は強くなるのではないでしょうか。ちょっと楽しみですね。
去年ウクライナは日本将棋連盟の支部になることができました。これはウクライナの将棋の発展にとって大きな一歩です。また、ウクライナと日本の文化交流は毎年盛んになっており、ウクライナ人の多くは日本に興味を持ち日本語を勉強したり、日本大使館で行われる催しに積極的に参加したりしています。ウクライナで将棋人気に火がつく日もそう遠くはないのでしょうか。
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