第一回韓国チャンギ・将棋交流の旅(26号,2003.12.20)
今回の交流会への参加者は22名。将棋を世界に広める会(以下ISPS)の会員はもとより、一般の方や、韓国将棋協会(以下チャンギ協会)日本支部からの参加もあった。(細根雄治)
スケジュールに余裕がないため、ソウル到着後旅装も解かず、韓国チャンギ協会の交流会に臨みました。
チャンギ協会、ISPSの幹部紹介の後、金応述(キムウンスル)会長の挨拶から、交流会は始められた。 「韓国チャンギ愛好者1,000万人、プロ棋士220名を代表して皆さんを心より熱烈歓迎します。韓国チャンギ協会設立50周年に当たる年に、歴史的第一回交流会を持てた事を嬉しく思います。これを機に両国の交流が深まり発展出来ますよう祈っております。」
これに応えて、ISPS眞田理事長の謝辞。
「今春韓国の皆様にお約束したように、多くの将棋愛好家と一緒に来ました。韓国と日本は近くて遠い国と言われています。日本の将棋好きがチャンギを知らない。韓国のチャンギ好きが日本の将棋を知らない状態です。お互いに相手の国の将棋を教えて貰う形で民間交流を進めていきたい。今回の交流を第一歩として末永くおつき合いをお願いしたい。お招きいただいたことに感謝します。」
続いて、日本将棋連盟・所司六段の挨拶。
「私は今回初めて来韓しました。私は世界の将棋に興味を持っていて、韓国の人とチャンギを指せる事を喜んでいます。この世界もインターネットで国際的になって来ている。今後は外国人の将棋棋士誕生を望んでいます。囲碁の世界のように将棋でも韓国の方々との交流を広めていきたい。日本将棋連盟としてもお手伝いをしていきたいです。」
今後韓国の幼稚園・小学校に将棋を普及させる責任者の、朴(パク)副会長からは、日本語で現状の報告と、将棋の教師や資料が足りないというお話がありました。
今回の交流を通じて、お互いの悪い感情を無くすようにしたいということも、言っておられた。
日本からの一行は、李興相(イフンサン)研究院長・六段から一時間にわたって、チャンギの指導をしていただいた。
チャンギは、中国の劉邦と項羽の漢(ハン・赤)軍と楚(チャン・青)軍の戦いです。
駒はそれぞれ16枚で、王である漢、楚以外の戦力は、車「チャ」二枚、包「ポ」二枚、馬「マ」二枚、象「サン」二枚、士「サ」二枚と、兵隊が五枚ずつありますが、漢軍は兵「ピョン」、楚軍は卒「チョル」です。
車は殆んど将棋の飛車ですが、包は一つの駒を飛び越えて進みます。馬は八方ケイマに、象は八方大ケイマに動きます。兵・卒は前横に一路ずつ、漢・楚・士は城内の線上を一路ずつ動きます。
配置は線の交差する線上に置き、横線が9で、縦線が10あり、それぞれの中央下部の二枡にX線が引かれ、そこがお城で、漢・楚・士はその中しか動けません。
駒の動き方がダイナミックで、初心者には競技中どこから敵が飛んでくるか判らず、驚きますが、視覚的に明るく陽気な競技です。
二日目は午前中に所司六段からチャンギの強い人たち2〜30人に日本将棋の講義が行われました。受講者は熱心で、質問も飛び交い、この際一気に覚えてしまおうという意気込みが感じられました。
午後はISPSの会員が、将棋を覚えたての韓国の人たちのお相手をしました。
皆さん、チャンギとの違いに戸惑っていましたが、物おじしない姿勢に、何年か後には対等に指せる人が出てくるという確信が持てました。
ISPSの会員同士は、ホテルでの余暇時間に、お土産にいただいたチャンギの盤を広げ、「チャングン」(王手)と声をあげていました。
韓国がすごく身近であること、それなのにお互いの文化について、殆んど知らなかったことを身をもって体験し、次の機会にはもっと和気あいあいと過ごせるよう、研鑚しておきたいと痛感しました。
三日目の市内観光も天気晴朗で、紅葉の美しいソウル市内の名所を巡り、どこで食べた食事もおいしくて、参加者全員が満足した三泊四日の旅行となりました。
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