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『かけはし』新たな出発に向けて(44号、2008年7月23日発行)

 永く『かけはし』の編集に携わって来られた寺尾理事に代わり、今回から編集を担当します。今年の4月よりISPSの理事という大役をおおせつかると同時に、機関誌『かけはし』の編集に関わることになりました。改めて編集・製作という目で『かけはし』を見ますと、内容・構成に歴史の重みを感じ、体が引き締まるのを禁じ得ません。第44号。いかにも素人が作ったものと思われましょうが、精一杯に取り組みました。ご寛恕ください。(松岡信行

 昨年度はオブザーバーとして理事会に関わらせていただき、理事会の様子を拝見しながらISPSの当面する諸問題について考えても参りました。私なりの感想を一言で表すなら、「《将棋を世界に広める会》は、丁度、転換点に来ている」 となりましょう。
《定款 第3条「本会は、世界各国に、将棋を普及させる事業を行い将棋を通じて諸外国との交流・親善友好に寄与することを目的とする」》
 ここに、ISPSの基本的な立場や方向性が示されていると思いますが、将棋界には「日本将棋連盟」という本隊がある以上、ISPSが全く独自に展開することは無理な事。『本隊の行動に先駆けて地理的・人的な足場や方向性を築き、本隊の動きを促す』ことに、ISPSの大きな存在意義を見出してきたのではないかと思います。
 永年の努力が報われて、日本将棋連盟が本格的に海外普及に向け動き始めて来ました。『先駆的に本体を誘導する』という一つの大きな目標が『成就』してきているのは確かなことでしょう。しかしながら、一つの成就は一つの目標の喪失でもあります。と同時に、発足当初には想定されていなかった、インターネットの急速な普及と拡大が起こって来ました。これまで骨格としてきた『諸外国との交流・親善友好』のために個人的な外国との接触の重視、梯団を組んでの外国訪問と将棋普及という、私的外交官的な外務省的な方向に行き詰まりを招来しました。
 正に今は、ISPSには新たな方向性とフロンテイアの開拓が迫られているのだと思います。
 今年の1月から4月にかけ、一つの結論が出てまいりました。中心をインターネット内に移して行こうということです。インターネットの中には、世界各地に広がる将棋愛好家や普及に力を注ぐ個人または組織との接触など、まだ皆の手をつけていないフィールドが沢山ありましょう。具体的にはVOXなどを利用し、世界中の将棋フアンとの積極的なコンタクトの展開、ISPS会員との双方向性のあるコミュニケーションの場の創設、様々に蓄積された多くのデータの共有等々、この方向に向かって大きく踏み出そうということです。
 インターネットの重視に伴い、当然のことながら、機関誌『かけはし』の存続問題も論議されました。インターネットが十分に機能し始めるとき、情報量が少なく伝達速度の遅い、しかも費用のかさむ『かけはし』の有効性の問題が浮上するのは当然のことでしょう。様々な意見が飛び交い始めました。対立点が明確になるに従い、次第に議論は熱を帯びて来ます。激しいやり取り。新たな展開。やがて声が静まる頃、皆は合意に達しました。それは、
《流動性の高い情報に対する一つの『楔』として、依然として『かけはし』は重要である》というものです。最も必要な情報の固定・保存、吟味された情報発信、会の基本方針の伝達、会員相互の関係の強化、国内基盤の安定化等のために。しかしながら、会員数が伸び悩み、資金的基盤が乏しい状況での『かけはし』の年4回の発行は、全体の財政を圧迫する可能性が高い。そのため、発行回数を年3回にすることを3月の総会で決議、具体的には7月・11月・2月にすることとしました。
 これらの決定を伝えるために、44号に限っては、従来通り6月に発行すべきものですが、引継ぎの関係と、新編集委員の力量の不足により、7月発行となってしまったことをお詫び申し上げます。
 とまれ、世界に向かうには、国内の充実を基本とします。会員相互の関係の強化と会員数の増加、諸機関の関係強化と発展、新たな資金源の獲得など当面の問題を解決しつつ、新たなフロンティアに向かって、大きく『橋』をかけて行こうではありませんか。

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