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2009年8月 7日 (金)

モンゴル訪問レポート

 当会理事の鈴木良尚が6月に私費でモンゴルを訪れました。そのレポートをお送りします(「かけはし」メールマガジンの7月号でお伝えしたものに写真を補足したものになります。)

<モンゴル訪問レポート>

 将棋を世界に広める会はこの度、新しく立ち上がったモンゴル将棋協会が日本将棋連盟海外支部の一つとして、申請登録するために、重要な手助けを行いました。そのモンゴル将棋協会会長に就任したトウムールバートルさんの、現地でのお世話により、6月10日出発22日帰国というスケジュールで、モンゴルへの将棋の普及、及び、選手の技術指導を目的に、主にウランバートルを中心に訪問して参りました。

 ハイライトは13日に行った将棋の講習会ですが、以下の形式で行われ、事前に現地の新聞にも一部予告されていました。

 主催 : 在モンゴル日本大使館、及び、モンゴル将棋協会
 協力 : 世界に将棋を広める会
 後援 : 日本将棋連盟、及び、JICAモンゴル日本センター

また、在モンゴル大使館のホームページでも告知をしていただきました。

 城所(キドコロ)特命全権大使をはじめ、日本語を教えている学校関係者やチェスクラブの関係者に「チラシ」が配られた結果、70人ほどが集まり大盛況で終りました。

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<講習会会場入り口の看板>

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<講習会で詰将棋に挑戦する子供、右がトウムールバートルさん>

大使は3月にサンクトペテルブルグの総領事から着任したばかりだそうで、大使主催の夕食会にも招かれ、次回に行われるモンゴル将棋大会には、日本大使杯を出して頂けるということで、トウムールバートルさんも大喜びでした。
 梅田望夫氏の「シリコンバレーから将棋を観る」を私が帰国後に大使に送る約束をして来ました。

 将棋事情で驚いた事には、これまでにも全くの個人,あるいは、JICA派遣の日本語、その他、テレビ技術等のシニア・ボランティアで、たまたま将棋を知っている日本の人達が教えていたりして、あちこちにパラパラと将棋を既に知っている人が点在し、強さはともかく、興味を持っているモンゴル人が思ったよりは、沢山いた事です。囲碁の先生から将棋も教わったというチェスの選手も居ました。人口の割には、チェスのグランドマスターの比率が多い国だそうですが。

 中でも注目されるのは、モンゴルで日本語を教えているトップクラスの第84学校では最近、将棋4段の青山さんという外交官補(来年文化担当の3等書記官就任予定)を呼んで将棋を教えるようになり、多くの子供達が将棋を始め出したという事実です。(青山さんは目下モンゴル語で将棋の入門書を執筆中で、色々な質問や相談を受けました)。学校内で大会を開き、「将棋を世界に広める会」カップを作ろうとも言っていました。また、会のために、生徒が作
った額縁入りのモンゴル風紙切り絵を頂戴しました。

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<エリート校第84学校での7面指し指導>

 そして、今後校長先生の「肝いり」で、日本の学校と将棋で提携して生徒達の文化交流に役立てたいので、将棋の盛んな日本の学校を是非紹介して欲しい、という熱心な要望を受けました。将棋ではありませんが、既に、昨年度は2名ほど日本に派遣した実績が有る学校です(多分、日本語研修だと思われます)。

 また、JICAの石田所長とも面会をしました。、将棋を教えるシニアボランテイアについても考えられる、という前向きな姿勢を示して頂けました。これなら私費でなく行けます。それには、将棋に対する現地の盛り上がり方が重要で、今度の将棋の講習会が盛況であったことや、大使館の取り組みが積極的であったことが、良かったらしい、と、以前トウムールバートルさんが一人で面会した時より雰囲気がかなり変ってきた、との言がありました。石田所長は、
「シリコンバレーから将棋を観る」本の事を話すと、自分でメモをとっておられました。

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<JICA石田代表に将棋のシニアボランテイアの創設を打診>

 ネットで将棋を指しているエルデニバートルさんは、私と2枚落ち、バギラ君は4枚落ちで、ドッコイでした。囲碁の先生から将棋を教わって、何回かやるうちに、何と、その日のうちに先生に勝ってしまった、という伝説のあるサンサル君(26歳)は、2枚落ちでは上手がキツイ感じで(勝負は、上手勝ち1局、上手入玉1局ですが)、こちらも真面目に考えると疲れるので(本人は昼間働いているので、いつも夜9時ころホテルにやって来る)、もし、飛車落ちで勝ったら初段認定する、と言ったら大張り切り、こちらは大駒一枚あれば、と気楽にやっていたら、何と、金の丸損で飛車に成られて大慌て。

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<右がサンサル君(26歳) ー 写真は2007年撮影で鈴木に送られてきたもの>

急遽、守りを固めて桂損までに持ち直したところ、飛車角を切って、と金でヒタヒタと迫ってくる。下手は穴熊に囲っているので、上手も攻める速度が遅くなり、ヘタに急いで飛車角を切ったりすると、それを使われて上手玉が逆に詰んでしまいそう。何とか1~2手違いで初段免許不合格に持ち込んだが疲れました。この人は、囲碁4段で前述の静岡に来た人でした。囲碁の成績は4勝4敗で69人中28位だったとか。どうやら、現在は、この人が一番強いと思われます。

 他に、モンゲニというチェスの特殊教育学校があり、1ヶ月間の夏季合宿の前に訪問して、20人くらいを前に、ここでも簡単に将棋の講義をしましたが、チェスの先生が異常に興味を示し、自分でいろいろ駒を動かしてみたりしていたので、盤駒1セットを贈呈してきました。前述の84学校は、ここに対抗して、将棋の方で特殊教育学校にして、将棋の夏季合宿なども行いたい、のかも知れません。

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<チェスのエリート教育で有名なモンゲニ学校にて将棋のPRモンゴルではチェスが盛ん。1ヶ月のチェス夏季合宿の直前に訪問。最前列右端はチェスのグランドマスター72才>

 ウランバートルの南に近接するトウブ県の町にも、将棋の支部があり、そこでも10人ほどの子供達が将棋を指していました。こちらの方は、まだ初心者で、チェスのように、桂馬を先に飛び出したり、飛車角をやたらに振り回していたので、もっとゆっくり、駒組みを作ってから戦うようにと、平手3面指しをすると、よくこちらの真似をして、金銀を先に動かすようになりました。モンゴル将棋協会のメンバーでこの地方出身者がいるので、その人が指導しているそうです。

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<モンゴル草原で正装でモンゴル名人戦(?)の対局>

 モンゴルでの問題点は、現在、集まる場所が無いことです。以前、囲碁選手の集まる場所があり、そこで、シニアボランティアの人が将棋も教えていたそうですが、建物が取り壊しになり、部屋を借りるのもお金がかかるところが、差し当たっての緊急課題のようでした。

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コメント

トウムールバートルさんのお世話で、ぼくは2008年夏ウランバートルへいきました。エルデネット市で行われたマインドスポーツの大会へいくためです。そこでは外国人来賓として歓迎されました。サンサルさんは囲碁の選手です。1局手合わせしましたが、将棋もできるのでしたらこちらも相手をしたかったと思いました。ぼくは将棋初段格です。

年賀状に書いてあったサイトを記入しましたが接続できず、なんとかこれにたどりつきました。
いろいろご活躍なによりと思います。私も囲碁で毎年開かれる「ヨーロッパ碁コングレス」に2度ほど参加しまし一昨年スエーデンのLeksandという田舎町であったのに参加しました。900人以上の参加者でしたが、韓国勢が強くて日本人はベストテンにも入れませんでした。
囲碁はもう私レベルでは世界で通用しません。もうこれ以上は強くなれないので普及活動などは思いもよりません。

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